2020年8月19日
研究支援
ノロウィルス感染症に関する研究が論文になりました
日タイ教育研究振興財団 (R.E.P.) が支援し、日本・タイ感染症共同研究センターが中心となって進めていたノロウィルスに関する研究成果が、米国の学術誌に掲載されました(1)。この研究は、ヒトに感染して激しい下痢や嘔吐を引き起こすノロウィルスの流行がどのようにして起こるのかを明らかにするために、2018年よりバンコクのクロントイ地区に住む方々を対象に行っていた調査結果をまとめたものです。この研究では、下痢等の症状を示すことなくノロウィルスを排出している「不顕性感染」について詳しく調べたもので、ノロウィルス不顕性感染に関してタイ国での初めての大規模な調査となりました。その結果、多くのノロウィルス不顕性感染の例が認められ、不顕性感染者から排出されたノロウィルスが同居の家族に感染し、下痢等の症状を伴ったノロウィルス感染症を発症したと考えられる症例が見つかるなど、大きな成果が得られました。本研究によって、ノロウィルス不顕性感染がノロウィルスの流行に寄与している可能性が明らかとなりましたので、今後はさらに詳しい調査を進める予定です。なお、本研究は、日本・タイ感染症共同研究センター(Thailand-Japan Research Collaboration Center on Emerging and Re-emerging Infections, Nonthaburi, Thailand)、タイ保健省医科学局、バンコク都保健センター41、大阪大学微生物病研究所、R.E.P.による共同研究プロジェクトとして実施されたもので、R.E.P.は研究プロジェクトの立案とクロントイ地区での検体収集作業に貢献しました。
(1)Phattanawiboon B, Nonthabenjawan N, Boonyos P, Jetsukontorn C, Towayunanta W, Chuntrakool K, et al. (2020) Norovirus transmission mediated by asymptomatic family members in households. PLoS ONE 15(7): e0236502. https://doi.org/10.1371/journal. pone.0236502